海水浴場開設を中止。早急に安全対策とルールが必要。
6月1日に鎌倉市・逗子市・葉山町が今年の夏の海水浴場開設を中止することを発表しました。
まず、早急に取り組むべきことは、先日投稿しましたが、海水浴場開設しないことで、これまでの条例が適用できなくなるため、海水浴場ではなく、海・砂浜に対しての安全対策とルールをきちんと定めることだと考えます。
なぜルールが必要か、鎌倉市が海水浴場に対して条例を制定した経過を簡単にまとめました。
鎌倉市では、平成26年(2014年)2月に「海の家の営業に関するルール」を海浜事業者とともに策定し、同年6月に「鎌倉市海水浴場のマナーの向上に関する条例」を制定しました。
条例制定の経緯は、海水浴場だけでなく近隣も含め、騒音や治安やごみなど不安要素が深刻さを増していた状況があり、海の家のクラブ化・入れ墨を露出した若者・酒酔い客によるマナーの悪化に対処するためでした。
しかしながら、同年、逗子市が「日本一厳しい」とうたい、砂浜での飲酒や音声機器を使った音楽などを禁止した条例を定められたこともあり、禁止ではなく努力義務としていた鎌倉市は結果として、風紀・マナーの改善について一定の効果はありましたが、過度な飲酒によるトラブルなど、苦情件数が前年比で約2倍となりました。そのため、私自身も健全化に向けた新たな取組が必要であると考えました。というのも、「飲酒や音楽を流すことすべて悪いという訳ではないですが、家族連れや子ども、お酒を好まない人、音楽ではなく静かに波の音を聴きたい人など、それぞれ楽しみ方が異なる人たちが海に来ています。」皆が海を楽しむためにも、条例を強化し、風紀改善への取り組みを行うように要望いたしました。
翌年(2015年)、努力義務としていた迷惑行為を禁止行為に条例を改正し、鎌倉市も砂浜での飲酒と音楽機器の使用を禁止にしました。また、海浜組合連合会の皆様のご理解とご協力をいただき、海の家の営業時間を「午後10時まで」を「午後8時半まで」にし、警備体制を強化のため警備員を増やすなど、海水浴場の健全化に取り組みました。
その結果、苦情件数が前年比で約3分の1に減少(海水浴客は約3割減少)し、一定の改善が図られました。私自身も何度も砂浜を歩きましたが、クーラーボックスいっぱいにお酒を持ってくる人や、音楽をかける人も少なくなり、「条例を知らない」という人もいましたが、改善されてきたという印象でした。
そして、平成28年(2016年)には、由比ガ浜茶亭組合のご協力があり、由比ガ浜海水浴場がアジアで初めて国際環境認証「ブルーフラッグ」を取得し、条例やルールも少しずつ海水浴客に伝わっていきました。他にも、鎌倉スポーツビーチ、キッズ&ファミリービーチ、バリアフリービーチ、子供向け海上遊具の無料貸出し、ライフセーバーと遊ぼう 海の安全教室、ライフジャケットの無料貸出し、水陸両用車椅子の無料貸出し、スマートビーチプロジェクトの実施など、様々な取組を行い、誰でも訪れられる安心安全な海水浴場を目指して、市全体が一丸となり形になってきています。
文章で書くと、経過としてはざっくりこのようになりますが、これまで、地元の声や海水浴客の声など、現場の状況を見極めて判断しつつ、市民や警察、関係機関の方々、特に海浜組合連合会の皆様のご理解とご協力があって、本当に市全体で「海水浴場の健全化」に向けて取り組んできました。
鎌倉の夏の海に対して、海水浴場の条例・海の家のルールとしっかりと根付いてきたものを、今年の夏は海水浴場がないからということで、すべてを自由にするのではなく、コロナ対策も含めて、これまでと同じような夏の海・砂浜における安心安全の対策とルールを定めることが必要と考えます。